INTEREST気になること
子供の頃から大好きだった、赤い、魔法の食べ物。オムライス、ナポリタン、そして、ピザトースト。ある女優は、私の血はワインでできている、と言ったが、私たちの血はケチャップでできている。トマトソースでできている。母に連れられて行ったデパートの食堂、部活帰りに寄り道した喫茶店、一口食べるとあの頃の思い出がよみがえる、懐かしい味。今では多くの専門店もできたが、やはり昭和漂う純喫茶にこだわりたい。今日もマスターがフライパンを振るあの店に、オピナポファンのあなたも、さっそく出かけてみませんか。
オピナポ隊が行く！ 第2回:紅鹿舎
第2回めは、「元祖ピザトースト」！
ご紹介するお店は珈琲館 紅鹿舎（べにしか）
東京、有楽町。地下鉄の日比谷駅から、ＪＲの高架線に沿って曲がると、そのお店はあります。創業は、なんと1957年。最初は洋食店としてスタートしたそうですが、初代オーナーがコーヒーとデザートが大好きだったことから、1964年、現在の場所に喫茶店の形の支店をオープン。時の流れとともに、本店はなくなりましたが、こちらはずっと愛され続けています。
店名の「紅鹿舎（べにしか）」は、当時珍しかった鹿肉を使ったジビエ料理を出していたことから、名付けたとか。
そんな歴史ある「紅鹿舎」さんですが、実はピザトースト発祥のお店として、ファンの間では、知らない人はいないという大人気店なんです。今と違って、気軽に入れるイタリア料理屋さんがなかった時代。六本木の「ニコラス」のピザが大好きでよく通っていた、現オーナーのお母さんとお父さん。いつの日か、このおいしさをもっとたくさんの人に食べてほしいと思うようになりました。
現在のオーナー、村上淳さん
といっても、ピザの生地すら、簡単には手に入りません。「そうだ！パンを代わりに使ったら！」そんな思い付きをきっかけに、知り合いのパン屋さんと一緒に専用のパンを開発。何十種類ものチーズを試したり、具材の種類や大きさにもこだわり続け、いくつもの試行錯誤を重ねたそうです。そうして完成した、元祖ピザトースト。当初は、「こんなのはピザじゃない」と心無い声もあったそうですが、おいしさが評判を呼んで、多くの人に愛されるメニューになりました。
そうそう、三島由紀夫さんもよく来ていたそうです。お目当ては、きっとピザトーストだったんでしょうね。お店と同じビルに芸能事務所さんも入っていたことや、近くに帝国劇場もあったことから、多くの女優さんやタレントさんたちにも人気だったそうです。だれもが知っている外タレさんが来店したときの写真も飾ってありましたよ。
さて、取材中から、食べたくて、食べたくて、しょうがなかった紅鹿舎さんのピザトースト。実際に目にすると、そのボリュームにビックリです。分厚い食パンは、なんと、約3.5cmもあるそうです。これでもかと溢れこぼれるチーズ。見た目だけでも、食欲をそそります。
ピザトーストセット 1,450円（税込）
実際食べてみると、もう、使い古された言葉しか浮かばなくて申し訳ないのですが、外はカリッとして、サックサク、中はトロトローっと。香ばしく焦げたチーズが、ツツツーと伸びて、もうたまりませんねえ。酸味のきいたトマトソースが、またいいアクセントになっていて。お、お、お、幸福感が口の中から全身に広がります。こだわりの末にたどり着いた、オランダ産のチーズと相性抜群の特性トマトソース。絶妙の大きさにカットされたサラミ、タマネギ、ピーマン、マッシュルームの4種類の具。おいしいハーモニーって、このことを言うんでしょうね。気が付けば、ペロッと平らげていました。
もう一つの名物「悪魔の炎」
フランス料理のフランベをヒントに生まれた、見た目もエンターテインメントなコーヒーです。照明を消した店内で青白く燃える炎。ブランディーの甘い香り。幻想的な光景に、しばし、現実を忘れてしまいますよ。
一見ふつうのコーヒーが、火を吹きます！
悪魔の炎 2,000円（税込）
珈琲館 紅鹿舎（べにしか）
住所：東京都千代田区有楽町1-6-8 松井ビル1F
電話：03-3502-0848
2021年05月07日 現在の営業時間：月〜金 11:00〜20:00 土・日・祝 10:00〜20:00
(通常営業：月〜金 9:30～23：45 土・日・祝 9:00～23：45)
無休
ピザトーストたびたい。
悪魔の炎みてみたい